MSCSクラスタ環境でメールサーバを設定する注意点
E-Post Mail Serverシリーズ、E-Post SMTP Serverシリーズ製品をWindows Server 2003 Enterprise Edition以上に付属しているMSCS(Microsoft Server Cluster Service)によるHAクラスタ構成で構築するポイントは、以下の通りです。

MSCS(Microsoft Server Cluster Service)でHAクラスタ構成の環境を構築するとなると、ドメインコントローラにするマシン、クラスタのノードにするマシン、クラスタ共有ディスク装置か共有ファイルサーバマシンというように、ハードウェアを複数台用意して構築する必要があるため、体験してみようというレベルでは、設定環境を整えることが困難です。そのため、ここでは仮想マシンの形でHAクラスタ構成を行うためのOSを設定し、構成と環境の例をあげながら、ポイントをあげてみます。

[構成図]


[環境]
1.Active Directoryのドメインコントローラ(DC) : 仮想サーバー1台目
OS: Windows 2003 Server R2 Enterprise

2.HAクラスタ:アクティブ側(MSCS1) : 仮想サーバー2台目
OS: Windows 2003 Server R2 Enterprise

3.HAクラスタ:スタンバイ側(MSCS2) : 仮想サーバー3台目
OS: Windows 2003 Server R2 Enterprise

4.ハートビート用プライベートネットワーク(仮想LAN)

5.クラスタ共有ディスク
 仮想SCSI(iSCSI)で共有ディスクの設定を構成
 (SCSIでHAクラスタマシンから物理的に接続可能なインターフェースを持つもの)

※MSCSでは、Active Directoryに参加していないマシンは構成できないので、Active Directoryのドメインコントローラは必須です。なお、なお、MSCSのインストール構成は、以下のMicrosoftの配布文章を参考にしました。
http://download.microsoft.com/download/f/5/b/f5bc73ed-13b5-4724-9b08-1af540c5dadf/CluCon_no1.exe

[インストール手順]
E-Post Mail Serverのインストール手順については、共有ディスク方式のインストール手順と基本的には同じですが、インストールとメールサーバ設定作業の際の注意点は、以下の通りです。

1.インストールとメールサーバの設定作業の際は、各HAクラスタノードを必ずアクティブ状態に遷移させてから行います。
 これは、メール作業フォルダを共有ディスクにアサインするためです。スタンバイ状態では共有ディスクが参照できないため、設定が行えません。

2.プログラムのインストールは、各HAクラスタノードそれぞれのマシンに対してローカルディスク(C:ドライブ等)へ行います。

3.外部からメールサーバとして応答させるIPアドレスは、MSCSのIPアドレスを設定します。


[E-Post Mail Server設定画面]

▲メール作業フォルダ:共有SCSIディスクに設定   
▲メールボックスフォルダ:共有SCSIディスクに設定 

▲アカウントフォルダ:
共有SCSIディスクに設定
▲メールボックス「接続ドメイン/IPで区別する」
設定にし、MSCSの代表IPアドレスを指定

▲各HAクラスタノードにおけるEPSTRSの詳細設定
−一覧のアドレスに応答する設定


※E-Post Mail Serverシリーズ、E-Post SMTP Serverシリーズ製品は、Windows Server 2003 Enterprise Edition以上に付属しているMSCS(Microsoft Server Cluster Service)で構成したHAクラスタ環境での動作について、2007年5月以降のバージョンでは正式対応しています。それ以前の旧バージョンをお使いの方は、2007年5月1日以降の差分アップデートプログラムを適用していただく必要があります。


※なお、ここにあげた説明は概略ですので、詳細な手順をお知りになりたい方は、テクニカル・ホワイトペーパー『MSCS方式クラスタリングメールサーバ構築ガイド』(PDF形式)をダウンロードしてご覧ください。